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【歯科医師が解説】「うちの子、歯列矯正は何歳から?」歯並びは、脳の発達と全身の健康にも関係します!
2025.07.20
東京都港区・表参道で矯正治療を専門に行っている歯科医師、伊藤剛秀です。
私は、単に「歯並びを整える」だけでなく、全身のバランスを整えることを重視し、頭痛・肩こり・姿勢の乱れなどの不定愁訴の改善や、運動機能の向上を視野に入れた独自の矯正治療を提供しています。
患者様一人ひとりのライフスタイルやお悩みと真摯に向き合い、丁寧なカウンセリングを通じて、最適な治療プランをご提案いたします。
お子さんの成長は本当にあっという間ですよね。乳歯が生え、永久歯に生え替わり…その中で「あれ?歯並びが気になるな」「うちの子、矯正って何歳から始めるのがいいんだろう?」と感じる親御さんはとても多いのではないでしょうか。
今回は、そんな疑問にお答えすべく、お子さんの歯列矯正を始めるのに**「適切な時期」と、歯並びがお子さんの脳や全身の健康にどう関係するのか**について、歯科医師の視点から詳しく解説していきます。
「何歳から」の答えは、お子さんの成長段階にアリ!
「歯列矯正は何歳から?」と聞かれると、多くの方が「小学校に入る頃?」とか「永久歯が全部生えそろってから?」といったイメージを持つかもしれません。実は、お子さんの矯正治療には、それぞれの成長段階に合わせた考え方があります。
大まかに分けると、次の3つの時期が挙げられます。
・0期(乳歯列期): 乳歯が生え揃っている時期
・1期(混合歯列期):乳歯と永久歯が混在している時期(小学校低学年〜中学年頃)
・2期(永久歯列期):永久歯が全て生え揃った時期(中学生以降)
この中で、特に重要なのが**1期(混合歯列期)に行う「早期矯正」**です。
小児矯正の目的とは?
小児矯正は、単に歯をきれいに並べるだけでなく、お子さんの健やかな成長をサポートするための大切な役割があります。
・将来の抜歯を避けるため
・骨角的な問題の改善を図るため
・治療をシンプルに、スムーズに導くため
・不正咬合(悪い噛み合わせ)の予防のため
小児で起こりやすい骨格性の問題
お子さんの歯並びの乱れには、歯そのものの問題だけでなく、顎の骨の成長バランスのずれが原因となる「骨格性の問題」があります。これらは、成長期にしかアプローチできない重要な要素です。
1. 上顎(じょうがくぜんとつ):いわゆる「出っ歯」
上の前歯や上あごが前に出ている噛み合わせの状態で、「出っ歯」とも呼ばれます。見た目や発音、噛む機能に影響することがあります。
2. 下顎前突(かがくぜんとつ):いわゆる「受け口」「反対咬合」
下顎が上顎に比べて過剰に大きい、または上顎の成長が小さいことで、下の前歯が上の前歯よりも前に出ている状態です。顔貌にも影響が出やすく、早期の改善が望まれます。
3. 開咬(かいこう):奥歯は噛み合うが、前歯が開いている状態
奥歯をしっかり噛み合わせたときに、上下の前歯の間に隙間ができてしまい、前歯が閉じない状態です。前歯で食べ物を噛み切れない、発音がしにくいなどの問題が生じます。
4. 顔の左右非対称
噛み合わせのズレや片側でばかり噛む癖(片側咀嚼)、顎の位置の異常などによって、顎が左右非対称に成長してしまうことがあります。
早期矯正が大切なワケ — 「今しかできない」顎の成長をサポート!
なぜ、永久歯が生え揃うのを待たずに、早い段階での矯正をおすすめすることがあるのでしょうか?それは、この時期にしかできない、お子さんの顎(あご)の成長を適切に促すことができるという大きなメリットがあるからです。
例えば、
・顎の大きさが足りない場合:
永久歯がきれいに並ぶスペースを確保できるよう、顎の成長を助けることができます。これにより、将来の抜歯のリスクを減らせる可能性が高まります。
・受け口(反対咬合)など、顎の成長のバランスが悪い場合:
顎の成長の方向を修正し、将来的な大きな外科手術の可能性を低減できる場合があります。
・悪い癖の改善:
指しゃぶりや舌の癖、口呼吸などが歯並びに悪影響を与えている場合、早期に介入することで、歯並びだけでなく、お子さんの顔貌や全身の成長にも良い影響を与えることが期待できます。
この時期を逃すと、顎の骨の成長が終わってしまい、歯を並べるスペースが足りない場合は抜歯が必要になったり、治療が複雑になったりするケースも少なくありません。
歯並びと「脳の発達」「鼻呼吸」の深い関係
さて、歯並びがお子さんの成長に影響を与えるのは、単に見た目や噛み合わせだけではありません。実は、脳の健全な発達や全身の健康に深く関わっています。
口呼吸と鼻呼吸、どちらがお子さんの成長にとって良いかご存知でしょうか?
口呼吸は、脳を過熱させ、集中力の低下など機能低下を招く可能性がある一方で、鼻呼吸は脳を冷却し、免疫力を高める効果があると言われています。そして、この鼻呼吸ができるかどうかは、上顎(うわあご)の成長と密接に関わっています。上顎は脳の発達と連動しており、もし脳が適切に成長しないと、上顎も十分に発達せず、結果として歯が並びきらずにガタガタになってしまうことがあるのです。
顎の骨の成長は、目の発達、歯が生える時期、噛む筋肉、舌の成長など、様々な身体の要因と連動しています。つまり、お子さんの歯並びは、全身の成長や発達のサインでもあるのです。
小児矯正の最終的な目標は、美しい歯並びを作るだけでなく、顎骨の適切な成長を促し、永久歯が正しく生えるスペースを確保することです。これは、お子さんの健やかな成長と健康な未来に繋がる、とても大切なことだと考えています。
まずは「ご相談」を。最適なスタート時期を見つけましょう
では、具体的に何歳で相談すればいいのでしょうか?
一般的には、小学校に入学する頃、おおよそ6歳〜7歳くらいで一度、歯列矯正についてご相談に来ていただくことをお勧めしています。この時期は、ちょうど永久歯が生え始める頃で、顎の骨の成長や歯並びの癖など、将来の問題につながるサインが見えやすくなるからです。
もちろん、お子さん一人ひとりの成長のスピードや歯並びの状態は異なります。お子さんの個性に合わせて、最適なスタート時期や治療計画は変わってきます。
「うちの子の歯並び、大丈夫かな?」「そろそろ相談した方がいいのかな?」と少しでも気になったら、ぜひお気軽にご相談ください。お子さんの健やかな成長を、一緒にサポートさせていただければ幸いです。
ご不明な点がございましたら、いつでも下記までお問い合わせください。
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