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【東京・大阪 歯科医師が解説】顎関節症は全身のSOSサイン!症状・原因から最善の治療法、そして治癒の先に目指すもの

2025.10.26

  1. 皆さん、こんにちは。私は東京の表参道と大阪(梅田・難波)で矯正治療を専門に行っている歯科医師の伊藤剛秀です。

私が最も大切にしているのは「全身の健康と機能を取り戻すこと」です。歯並びや口元の美しさはあくまで結果であり、根本にあるのは頚椎の角度や身体全体のバランスです。実際に、肩こりや頭痛、不眠といった不定愁訴を抱える患者さんの顎のズレを改善すると、驚くほど症状が軽快するケースも少なくありません。私の診療方針は「歯を治す」のではなく「人を診る」こと。矯正治療や噛み合わせの調整を通じて、患者さんがより快適に、健やかに生きられるよう全身の視点でサポートしています。

 

 

顎関節症とは?全身の健康に影響するSOSサイン

 

以下のような症状に心当たりはありませんか?

 

・口を開けるときに顎が痛む。

・大きく開けづらい、ほとんど開けることができない。

・開けるときに顎が「カクカク」と音が鳴る。

 

これらの症状が出ている場合、それは顎関節症です。

顎関節症は、ちょっと気になる程度の軽度な症状から、食事や会話すら辛い重度の症状まで、個人差が非常に大きい疾患です。悪化すれば、痛みが増強したり、開口障害(口が開かなくなること)が進行したりするため、日常生活に大きな支障をきたし、とても辛い状態になってしまいます。

顎関節は耳の前方に位置し、頭蓋骨と下顎の間にクッション材の役割をする関節円板が存在します。顎関節症の多くは、この関節円板がずれてしまうことにより、開口時の異音(カクン、ジャリジャリ)が発生したり、開口時の痛みや開口障害を引き起こします。これらの中で一つでも当てはまると顎関節症と診断されます。

一般的に、人差し指、中指、薬指の三本を縦にして、口を開けたときにそれが入らない場合は、開口量が不足しており、顎関節症の重要な指標となります。

 

 

顎関節症が引き起こす全身への影響

 

顎関節症が怖いのは、その症状が顎だけに留まらない点です。顎関節は身体の重心に近い位置にあるため、そのズレは全身に影響を及ぼすことがあります。

 

⚪︎頭部・頸部:肩こり、首のこり、慢性的な頭痛、めまい、耳鳴り。

⚪︎自律神経:不眠症、自律神経失調症に類似した全身倦怠感。

 

これは、顎の周りの筋肉が頭や首の筋肉と密接に繋がっているためであり、顎の緊張やズレが全身のバランスを狂わせる「身体のSOSサイン」なのです。

症状の出方には、急に始まる急性的なものと、徐々に進行する慢性的なものがあります。慢性化してしまうと治癒が難しくなるため、症状に気づいたら放置せず、早めに歯科医院や専門医に相談し、早期に対応することが極めて大切です。

ただし、注意点として、顎の痛みや開けづらさが、親知らずの炎症、顎周囲炎、稀に口腔癌や咽頭癌など、他の重篤な病気が原因である可能性もゼロではありません。もし長期的に症状に悩まされている方、あるいは従来の治療で効果がないという方は、MRIなどでの精密検査を受けて、確実な診断を得ることも検討してみるべきでしょう。

 

 

顎関節症の多角的な原因:噛み合わせだけではない

 

昔から顎関節症は「噛み合わせが悪いからなる」と言われてきましたが、最新の研究により、原因は一つではないことがわかっています。むしろ、複数の要因が複雑に絡み合い、顎や筋肉がその限界を超えたときに症状として現れると考えられます。

主な原因は以下の通りです。

 

1.精神的な要因

不安、緊張、仕事や生活のストレスなど。精神的な負荷は無意識に筋肉の緊張を高めます。

 

2.TCH(歯列接触癖)と食いしばり

日中パソコン・ゲームなどに集中している時の無意識な歯ぎしりや食いしばり。特に夜間の無意識の食いしばりは、日中の食事時よりも10倍以上もの強い力が顎にかかると言われています。

 

3.姿勢の悪さ

うつ伏せ寝、頬杖、そして特にスマートフォンやPCの使用による猫背や前かがみの姿勢。姿勢が悪いと、頭の重さを支えるために顎周りの筋肉に過度な負担がかかります。

 

4.構造的な要因

元々の顎の骨格や筋肉の構造的な弱さ。

 

5.生活習慣

どちらか片方だけでものを噛む癖(偏咀嚼)、固いものばかり集中的に噛む習慣。また、昔に比べて柔らかい食べ物が増えたことで、顎の力自体が弱くなっていることも一因とされています。

 

6.外傷

顎などを強くぶつけるなどの打撲や外傷。

 

 

悪化を防ぐために:日常生活で気をつけたいこと

 

顎関節症にならないため、あるいは悪化させないために、普段の生活習慣を見直すことが重要です。

・食生活の改善

規則正しい食生活を心がけ、ジャンクフードや極端に柔らかいものばかりを頻繁に食べるのは避けましょう。症状が出ていない場合は、噛みごたえのあるものを意識して食べることで、顎の機能を維持し、脳の活性化にも役立ちます。

 

・姿勢の改善

パソコンやスマートフォンを使う時間が長くなりがちですが、猫背や前かがみの姿勢は顎関節症の大きな原因の一つです。常に背筋を伸ばし、良い姿勢を意識することは、顎関節だけでなく全身の健康維持に不可欠です。

 

・安静を保つ

痛みや口の開けづらさが出ている場合は無理をせず、一時的に固い食品を控えることが大切です。顎を休ませることで、症状が落ち着くのを待ちましょう。

 

 

顎関節症の治療方法:元に戻せる治療から始める

 

顎関節症が気になる時は、まず矯正歯科や一般の歯科医院に行くのが良いでしょう。原因が様々であるため、治療法も多岐にわたります。

 

1. 可逆的な治療(元に戻せる治療)からスタート

顎関節症の原因は特定が難しいため、いきなり歯を削ったり、被せ物をしたりする不可逆的な治療は避けるべきです。もし原因が他にあった場合、元に戻せなくなるからです。

 

 ・マウスピース(ナイトガード)治療

最も一般的です。就寝前にマウスピースを装着することで、夜間の無意識な食いしばりや歯ぎしりによる強力な衝撃を防ぎます。日中の食いしばり癖(TCH)のある方にも有効です。

 

 ・生活習慣の指導

普段の姿勢、噛み癖、頬杖などの癖を見直し、改善するための指導を行います。

 

・マッサージや体操

痛みの出ない範囲で、顎周りの筋肉をほぐすマッサージやストレッチなどの指導を行います。

 

2. 専門的な治療と全身の機能回復

一般の歯科医院で改善が見られない場合は、顎関節症の専門医を紹介されることがあります。

 

・精密診断

MRIなどを用いて、顎関節や関節円板の状態をさらに詳しく診断します。

 

・機能回復のための歯列矯正

噛み合わせの不調和が根本的な原因であると診断された場合、歯列矯正を行うことがあります。噛み合わせは一生付き合っていく大切なものであり、歯並びが悪いとブラッシングも難しくなり、虫歯や歯周病のリスクも高まります。適切な噛み合わせは、顎関節の安定に不可欠です。

・その他の処置

歯科医院によっては、レーザーや電気刺激で筋肉の血流を改善する治療を行う場合もあります。稀に外科的な処置が必要となる場合もあります。

 

 

最後に:あなた自身の努力が治癒への道を開く

 

顎関節症の治療において、歯科医師による専門的な介入はもちろん重要ですが、それ以上に患者さんご自身の生活習慣の改善が不可欠です。姿勢や噛みグセを意識したり、指導されたマッサージや体操を毎日続けるといった「自己管理と努力」が必要になります。これは、その日だけやれば良いものではありません。

大阪東京で矯正治療に携わる者として、私は常に患者さんの「全身の機能」という大きな視点から顎関節症を捉えています。もしあなたが顎関節症に悩み、根本的な健康改善を目指しているのであれば、信頼できる矯正歯科でぜひ一度ご相談ください。

なお、もし当院のある東京や大阪にお住まいでない場合でも、ご安心ください。私は全国で勉強会を開いており、私の治療哲学である「全身を診る矯正」と同じ考えを持った先生方が多くいらっしゃいます。お近くで信頼できる矯正歯科をお探しでしたら、ご連絡いただければご紹介できる場合がございます。

あなたの未来の健康と快適な生活のために、私たちが全力でサポートいたします。

 

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