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今年もありがとうございました。多くの患者様の『笑顔』に立ち会えた1年を振り返って
2025.12.26
こんにちは。マウスピース矯正専門医の伊藤剛秀です。
カレンダーも最後の一枚となり、冷たい風の中にも新春の気配を感じる季節となりました。街のイルミネーションが輝くこの時期、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
私にとっての2025年は、例年にも増して多くの患者様との出会いに恵まれ、その数だけ「新しい笑顔」が生まれる瞬間に立ち会わせていただいた、感謝の尽きない一年でした。
私たちが日々向き合っているのは、単なる「歯の並び」ではありません。その先にある、患者様が心の底から笑えるようになる「人生の質」そのものです。今年の締めくくりとして、私が選んだ一文字「整(ととのえる)」に込めた想いと、2025年の歩みを振り返ってみたいと思います。
1. 2025年を象徴する一文字「整」に込めた信念

毎年、年末になるとその年を象徴する漢字を考えますが、今年は迷うことなく「整」を選びました。
歯科医師として、日々患者様の歯を「整える」ことは日常の風景です。しかし、今年ほどこの言葉の持つ意味の深さ、そしてその難しさと真摯に向き合った年はありませんでした。
歯を動かす前に、すべきこと
「歯並びをきれいにしたい」と来院される患者様に対して、私たちはまず何をすべきか。 かつての歯科矯正は、単に歯というパーツをきれいに並べ替える「配列」の作業に重きが置かれていました。しかし、私の元に届く患者様一人ひとりの経過は、もっと根本的な事実を突きつけてくれました。
「歯並びを整えるには、まず身体(土台)を整える必要がある」
この気づきこそが、今年の私の診療の核となりました。歯並びの乱れは、決して口の中だけの問題ではないのです。
2. 身体から始まる「笑顔の連鎖」を読み解く
人間の身体は、すべてがつながった一つの精密なシステムです。 姿勢が乱れると、頭の位置が変わり、それに伴って舌の位置が乱れます。舌の位置が乱れれば、飲み込みの動作や呼吸のパターンが変わり、最終的には顎の軌道を歪ませてしまいます。
姿勢と噛み合わせの深い関係
顎の軌道が乱れたままでは、どれほど最新の技術で歯を精密に並べても、正しい位置に収まり続けることはできません。無理に並べられた歯は、身体全体の不調和に耐えきれず、「後戻り」という形で悲鳴を上げます。
「なぜ噛みにくいのか」「なぜ矯正したのに違和感があるのか」。 こうした見落とされがちな事実に光を当て、姿勢、呼吸、舌の動き、そして顎の軌道を一つの連続した流れとして整えていく。そのプロセスを経て初めて、患者様の口元には「本当の笑顔」が宿るのです。今年はその確信が、かつてないほど深まった一年でした。
3. 「見えない領域」への挑戦――MRIが変えた診断の精度
では、顎の位置を本当に整えるためには、具体的に何が必要なのか。 その答えとして私が辿り着いたのが、「顎関節(がくかんせつ)」と「関節円板(かんせつえんばん)」への徹底的なアプローチでした。
なぜ今年はMRI撮影が急増したのか
これまでの歯科診断の主役はレントゲンやCTでした。しかし、これらは「骨」の状態を診るには優れていても、顎の動きをスムーズにするクッションの役割を果たす「関節円板」などの軟組織を捉えることは困難です。
顎の動きがどこで引っかかっているのか、関節円板がどの位置でズレているのか。 これらを正確に知るために、今年はMRIを撮影する機会が劇的に増えました。レントゲンやCTだけでは見えない領域に踏み込むことで、患者様自身も気づかなかった「噛み合わせの不調の真犯人」を解き明かすことが可能になったのです。
「自分の顎がどうなっているのか、初めて理由がわかった」と納得される患者様の表情を見るたび、診断の精度を高めることが、患者様の不安を「安心」へと整える第一歩なのだと痛感しました。
4. 伊藤剛秀が選ぶ、2025年「笑顔の3大ニュース」
ここで、今年の私の活動を象徴する3つの出来事を振り返ります。
【第3位】Smartee(スマーティー)日本上陸
世界的にシェアを広げる次世代マウスピース矯正「Smartee」が、ついに日本に本格上陸しました。選択肢が増えることは、患者様のライフスタイルに合わせた「最適な整え方」を提供できることを意味します。よりデジタル化され、精密になった治療環境は、多くの笑顔を支える強力な武器となりました。
Smarteeに関しては以下をご参照ください。
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第2位】「シン・中心位」の誕生と認定制度プロジェクト始動
「正しい顎の位置(中心位)」とは何か。この歯科界の永遠の課題に対し、最新の生体メカニクスとデジタル技術を融合させた「シン・中心位」という概念を深めてまいりました。
この概念を一部の技術に留めるのではなく、全国の志ある歯科医師と共有し、日本中の矯正治療の質を底上げしていく。そんな大きな目標に向けた認定制度プロジェクトが始動したことは、志を同じくする先生方と共に踏み出した、非常に意義深い一歩となりました。
【第1位】顎関節と関節円板の重要性が爆発的に認知され、MRI依頼が急増
今年最大の出来事は、「歯並びだけを診ても解決しない」という考え方が、患者様や多くの医療関係者の間で爆発的に認知されたことです。 「根本から治したい」という切実な想いに応えるために、MRIを用いた精密診断がスタンダードになりつつある現状。それは、私の掲げる「全身を診る矯正」が、多くの人々が求めていた答えであったという何よりの証左だと感じています。
5. 「整える」とは、人生の土台を創ること
私にとって「整える」とは、単に表面をきれいに取り繕うことではありません。 根本に触れ、土台から変えること。
歯並びという「結果」だけを操作するのではなく、姿勢、呼吸、顎関節、そして噛み合わせという「原因の連鎖」を一つずつ紐解き、再構築していくこと。それが私の目指す歯科矯正のあり方です。
治療を通じて身体のバランスが整うと、不思議なことに患者様の表情は内側から輝き始めます。姿勢が良くなり、呼吸が深くなり、自信に満ちた笑顔に変わっていく。その姿を見るたびに、私は「ああ、この方の人生そのものが整い始めたんだな」と深い喜びを感じます。
歯科矯正は、単なる美容ではありません。 身体という精密なシステムを、本来あるべき正しい状態に「整える」医療なのです。
6. 2026年に向けて――連続したシステムとしての歯科治療
2026年も、私はこの「整」という一文字を胸に走り続けます。
身体・顎関節・顎位・歯列を一つの連続したシステムとして捉える。 この視点をさらに研ぎ澄ませ、デジタル技術と職人としての研ぎ澄まされた感覚を融合させ、より精度の高い治療を提供することを誓います。
今年も多くの患者様の笑顔に支えられ、私自身も成長させていただきました。 もし、あなたが今、長年の歯並びの悩みや、原因不明の体調不良、顎の疲れを抱えているのなら、それは身体が「整えてほしい」と出しているサインかもしれません。
来年も、一人でも多くの患者様の笑顔と、そして人生を整えるお手伝いができるよう、精進してまいります。
2025年、本当にありがとうございました。 どうぞ皆様、健やかで整った新年をお迎えください。
マウスピース矯正専門医 伊藤 剛秀