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冬の「お口の乾燥」を放置しないで!マウスピース矯正専門医が教える、潤いと健康を守る冬のセルフケア

2026.01.09

こんにちは。マウスピース矯正専門医の伊藤剛秀です。

2026年、新しい一年が始まりました。1月は「今年こそは自分を変えたい」「健康に気を配りたい」と、自分磨きへのモチベーションが高まる時期ですね。私たちのクリニックでも、新しく矯正治療をスタートされる患者さまが多く、活気に満ちています。

しかし、この時期に切っても切れない悩みが「乾燥」です。お肌の乾燥対策に余念がない方は多いですが、実は「お口の中」の乾燥を気にされている方は意外と少ないのではないでしょうか。

実は、冬は一年の中で最もお口のトラブルが増え、歯科医院への緊急来院が増える季節でもあります。今回は、マウスピース矯正専門医の視点から、冬の乾燥が「歯並び」「虫歯」「歯周病」、そして「全身の健康」にどのような影響を与えるのか、そして今日からできるプロのアドバイスを詳しく解説していきます。

 

1. なぜ冬にお口が乾くのか?専門医が分析する「3つの外的・内的要因」

「口が乾く(ドライマウス)」と聞くと、単に喉が渇いただけだと思われがちですが、冬には特有の、かつ複合的な理由があります。

 

 

 

① 物理的な環境要因:湿度の急降下

日本の冬、特に太平洋側では湿度が20%〜30%まで下がることが珍しくありません。さらに室内で暖房(エアコンやファンヒーター)を使用すると、空気は砂漠並みに乾燥します。鼻や口から吸い込む空気が極度に乾燥していると、粘膜を覆うわずかな水分が蒸発し、唾液の「質」自体も粘り気を帯びるようになります。

 

 ② 呼吸器系のトラブルと「口呼吸」
冬は風邪やウイルス、さらには早い時期からの花粉の影響で鼻粘膜が腫れ、鼻が詰まりやすくなります。人間は鼻が使えないと代償的に「口呼吸」を行いますが、これはお口にとっては致命的です。口呼吸は、本来であれば24時間お口を潤している唾液を一瞬で蒸発させ、粘膜を露出させてしまう「乾燥の加速装置」なのです。

 

③ 水分代謝の低下
夏場と違い、冬は「喉の渇き」を感じる中枢が鈍くなりがちです。そのため、自覚のない「隠れ脱水」に陥っている方が非常に多いのが現状です。血液の90%以上は水分ですが、唾液もまた血液を原料として作られます。体全体の水分が不足すれば、当然、唾液の産生量も減少します。

 

2. 唾液は「天然の万能薬」:乾くと失われる驚異の機能

歯科医学において、唾液は単なる水分ではなく「生体防御の第一線」と位置づけられています。唾液が減るということは、以下の4つの重要機能が停止することを意味します。

1. 自浄作用(クリーニング機能): 食べかすや細菌を常に洗い流す「天然のシャワー」です。
2. 殺菌・抗菌作用:リゾチームやラクトフェリンといった抗菌物質が含まれており、外来の菌やウイルスを撃退します。
3. 再石灰化作用: 食事のたびにわずかに溶け出した歯のエナメル質を、ミネラルを補給して修復します。
4. 緩衝(かんしょう)作用:食後、酸性に傾いたお口を中性に戻し、歯が溶け続けるのを防ぎます。

 

【深掘り】冬の「食いしばり」が唾液を止める?
ここで矯正専門医として特に注目したいのが、冬特有の「寒冷ストレス」です。人は寒いと無意識に肩をすくめ、顎に力を入れて歯を食いしばります。この持続的な筋緊張は、耳の下にある「耳下腺(じかせん)」などの大きな唾液腺を圧迫し、物理的に唾液の出口を塞いでしまうことがあります。朝起きた時に「顎がだるい」「口がカラカラ」という方は、夜間の食いしばりが乾燥を悪化させている可能性が高いのです。

 

 

3. 乾燥が引き起こす「お口の3大崩壊リスク」

お口が乾くことで、具体的にどのような病気が忍び寄るのでしょうか。

 

 ① 虫歯リスクの爆発的上昇
唾液による「再石灰化」と「中和」が機能しなくなると、お口の中は常に「歯が溶けやすい状態」になります。特にマウスピース矯正中の方は、歯の表面がマウスピースで覆われているため、その隙間にわずかでも糖分を含んだ乾燥唾液が入り込むと、逃げ場のない「酸のパック」状態になり、あっという間に虫歯が進行してしまいます。

 

② 歯周病の悪化と「全身への波及」
歯周病菌は酸素を嫌う「嫌気性」ですが、実は唾液の流動性がなくなることで活動が活発化します。乾燥によって歯茎の免疫力が低下すると、細菌が血管内に侵入しやすくなります。近年の研究では、この歯周病菌が心疾患や糖尿病を悪化させることが分かっており、冬の乾燥対策は「心血管を守る対策」でもあるのです。

 

③ 粘膜疾患と口臭
乾燥した粘膜は傷つきやすく、口内炎が頻発したり、舌がヒリヒリ痛む「舌痛症」を引き起こしたりします。また、細菌が死滅・分解される際に出るガスが口臭の元となりますが、唾液が少ないとそのガスが凝縮され、非常に強い臭いとなって現れます。

 

 

4. マウスピース矯正専門医が教える「装着時の乾燥」の真実

マウスピース(インビザライン、スマーティーなど)を使用している方にとって、冬は最もメンテナンスが重要な時期です。

 

素材への影響
マウスピースの素材(ポリウレタン樹脂など)は、乾燥した状態で口腔内の汚れ(プラーク)が付着すると、それが石灰化して白くこびりつきます。これは「歯石」と同じで、一度固まるとブラッシングでは落ちません。透明度が失われ、不潔な印象を与えてしまう原因になります。

 

装着感の変化
お口が乾燥していると、マウスピースと粘膜の間に摩擦が生じやすくなります。これが原因で口角が切れたり(口角炎)、頬の内側に傷ができたりすることがあります。「いつもよりマウスピースが当たって痛い」と感じる場合、実は調整不足ではなく、単なる「乾燥」が原因であることも多いのです。

 

5. 【完全版】冬のお口を潤すプロの5つの習慣

では、具体的にどのような対策を講じるべきでしょうか。私が患者さまに指導している「潤いルーティン」をご紹介します。

 

1. 「飲み方」の工夫:少量頻回摂取
一度に500ml飲むよりも、15分〜30分おきに「一口(20〜30ml)」含む方が、口腔粘膜の潤い維持には効果的です。この時、温度は常温か、少し温かい白湯が理想的です。カフェインを含むコーヒーや紅茶は利尿作用があり、逆に体内の水分を奪うため、飲み過ぎには注意しましょう。

 

 

 2. 「あいうべ体操」で天然の保湿
口呼吸を改善するには、口輪筋(口の周りの筋肉)を鍛えるのが一番の近道です。
* 「あー」:喉の奥が見えるほど大きく
* 「いー」:前歯が全部見えるほど横に
* 「うー」:唇を尖らせて強く前に
* 「べー」:舌を顎の先まで伸ばすつもりで
これを1回4秒、1日30回行います。これにより、睡眠中の口閉じを自然に維持できるようになります。

 

 

3. 就寝環境の「湿度マネジメント」
寝室の湿度は50%〜60%をキープしてください。加湿器の活用はもちろんですが、マウスピース装着者は寝る前に「口腔専用の保湿ジェル」をマウスピースの裏側に薄く塗るのも有効です。これにより、朝起きた時の不快なベタつきを劇的に軽減できます。

 

 

 4. 唾液腺への直接的アプローチ
食事の前後や入浴中に、以下の3つのポイントを刺激してください。
耳下腺:耳の前、頬の上の方を後ろから前に向かって円を描くように。
顎下腺: 顎の骨の内側の柔らかい部分を順番に押す。
舌下腺: 顎の先の内側を、舌を突き上げるように親指で押す。
これだけで「天然の保湿液」がじわっと溢れ出してきます。

 

 

 5. 食生活における「咀嚼の科学」
冬の柔らかい食べ物(鍋、スープ、麺類)に、あえて「噛む」要素を加えましょう。例えば、鍋に根菜を厚切りで入れる、サラダにナッツを加える、トーストを少し固めに焼くといった工夫です。噛む回数が1.5倍になれば、唾液の分泌量も比例して増加します。

 

 

6. まとめ:2026年、潤いのある笑顔で最高のスタートを

お口の乾燥は、単なる「季節のせい」ではありません。それは、体からの大切なSOSサインです。

私たちマウスピース矯正専門医の仕事は、単に歯を並べることだけではありません。歯が並んだその先に、一生涯ご自身の歯で美味しく食事ができ、自信を持って笑える「お口の環境」を作ることです。冬の乾燥対策を徹底することは、矯正治療の質を高め、将来の虫歯や歯周病を未然に防ぐための、立派な「治療の一部」なのです。

もし、今のケアで不安がある方や、「マウスピースの汚れが取れない」「口が乾いて喋りにくい」とお悩みの方は、ぜひ定期検診でお話しください。2026年が、皆さまにとって潤いのある、素晴らしい笑顔の一年になるよう、全力でサポートさせていただきます。

新しい季節、健やかなお口で健やかな毎日を過ごしていきましょう!

 

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